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ブラック・ノイズ
トリーシャ・ローズ (著) , 新田 啓子 (翻訳)

1970年代初頭に誕生したラップ・ミュージックは、音楽の一ジャンルを越えていまや世界的な文化現象へと変貌した。ヒップホップ・カルチャーの中核をなすこの大衆音楽の背景をはじめて理論化し、ヒップホップ・カルチャー研究のプロトタイプを作ったのが本書である。

労働市場からの排除、苛烈な取り締まり、仲間への虚勢、女性の欲望、鬱屈と暴力、子ども時代の記憶など、アメリカ社会の周縁から発する声を生き生きと集結するラップ・ミュージックは、常に激しい批判の矢面に立ちながら発展を遂げてきた。過激な歌詞は暴動を扇動するのか。サンプリングの手法は独創性の欠如ではないか。大音響の歪んだサウンドは音楽と言えるのか。ラップは世界的な人気を得て大々的に流通する一方で、犯罪予備軍の黒人の若者が叫ぶ「雑音」と見なされ、取り締まりの対象とされてきた。

ローズはラップの文法とその背後にある複雑な力学を緻密に分析し、ラップの思想性と政治性、音楽としての位置づけ、社会的な葛藤の渦中から生まれる創造性を明らかにしていく。ラップという現象はスラムの犯罪性の表出でもなければ、ポスト産業社会における音楽の一形態でもない。それは人種差別と階層格差の只中で対話を続け、公共領域を創造する表現の戦略なのだ。本書は社会的・人種的対立に満ち、矛盾を孕みながら文化を創造する、ラップ・ミュージックの「ノイズ」を見事に理論化した。

[Amazonより抜粋]

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