あなたの知らないアトランタ!トラップミュージックが生まれた故郷:バンクヘッドとトラップミュージアム編

あなたの知らないアトランタ!トラップミュージックが生まれた故郷:バンクヘッドとトラップミュージアム編

YAPPARI HIPHOPのAKKEEです。アトランタで参加した現地ヒップホップ・ツアー最後のレポートとなります。 「南部のソウルフードとイースト・アトランタ編」「ダンジョン・ファミリーと90年代カルチャー編」「南部のハリウッドとタイラー・ペリー・スタジオ編」に続き、スナップミュージックやトラップミュージックの故郷:バンクヘッドとトラップ・ミュージアムを中心に巡りました。

バンクヘッドは2000年代に大流行したスナップミュージック、そしてトラップミュージックが生まれた地域で、T.I.Young DroDem Franchize Boyz、Shop Boyz、Shawty Lo率いるD4Lらを輩出しています。写真はバンクヘッドにある公営住宅(プロジェクト)の入り口です。以前は、大きな公営住宅が5つほどありましたが2011年に取り壊され現在は閉鎖されています。「Dey Know」「Lean Wit It, Rock Wit It」「Shoulder Lean」「Laffy Taffy」「Party Like A Rock Star」といったヒット曲が生まれた場所とは想像がつかないほど自然溢れる田舎のような雰囲気でした。

2018年にT.I.とKiller Mikeが買い取ったというバンクヘッドで唯一のレストランBankhead Seafoodも教えてもらいました。このレストランは「南部のソウルフードとイースト・アトランタ編」で紹介したThe Beautifulというソウルフード・レストランと並び、Goodie Mobの名曲「Soul Food」 で歌われている創業50年の歴史あるレストランです。しかし、前述の5つのプロジェクトが閉鎖されてから客が減り残念ながら閉店してしまいました。T.I.とKiller Mikeが何故このレストランを買い取ったのか調べてみると、なんと地域再開発! T.I.はKiller Mikeや土地開発業者とパートナーシップを結び2018年から地域再開発事業に着手していることがわかりました。こちらの記事によると、前述のレストランの他にバンクヘッドやセンター・ヒルにある6つの建物を購入しています。しかも、200万ドル以上という費用は全てT.I.自身のポケットマニーから!

俺は80年代〜90年代をアトランタのバンクヘッド・ハイウェイすぐそばのセンター・ヒルで過ごした。当時、この街の一部は中流階級の最下位と考えられていた。クラックブーム後、コミュ二ティは行き詰まり、1994年から2012年にかけて商売には不向きな荒廃したエリアになった。大手食料品店チェーンもない。生鮮食品店やCVS(ドラッグストア)もない。あるのは酒屋だけだった。」by T.I.

T.I.は購入した建物を複合型住宅に変え、家賃高騰でバンクヘッドから追い出されている住民が街に住み続けることができるよう手頃な価格で提供する予定とのこと。また、公園、映画館、ボウリング場といった施設も提供し地域活性化を促して故郷を救おうと目論んでいます。自分が育ったコミュニティに還元する様々な活動をしてきているT.I.ですが、再開発事業にまで手を出しているとは、さすがキング・オブ・アトランタ!

こちらの動画は、T.I.が育った家の跡地と自然溢れる近所の様子です。

バンクヘッドにあるストリップ・クラブ:Blue Flame Loungeも通り過ぎました。2016年に亡くなったShawty Loは、このストリップ・クラブからの帰路に交通事故を起こし、帰らぬ人となりました。

1995年に大ヒットしたDiamond Feat. D-Roc「Wassup Wassup」を代表するバンクヘッド・バウンスとダンスが生まれた場所も教えてもらいました。Word of God Ministriesというナイトクラブの跡地に建てられた教会です。ここにあったBounceというナイトクラブでバンクヘッド・バウンスのダンスが生まれたそうです。ナイトクラブの跡地に教会を建設するというのも驚きです!

The Bluffと呼ばれているダウンタウンにある”忘れられたコミュニティ”も巡りました。The Bluffとは「Better Leave You(U) Fucking Fool」(立ち去った方がいいぜ、愚か者!)の頭文字をとったもので、アトランタで発生する犯罪の80%が行われているという非常に危険な地域です。ほとんどが空き家のため、ドラッグ中毒者が空き家に侵入しヘロインやコカインでハイになっていたり、ドラッグ・トラフィッキング、売春、ギャングの殺人事件など犯罪の温床となっています。

いまでこそ犯罪や暴力に溢れている地域ですが、かつてはMartin Luther King, Jr.が亡くなる直前まで住んでいた家や、黒人女性シンガー:Gladys Knightが通った小学校など歴史のある地域です。

お昼ご飯を食べに、2 Chainzのレストラン:Escobarに訪れました。

店内には2chainzの絵も飾ってあり、なかなかお洒落なレストランです。

今回のアトランタ旅であちこちのレモン・ペッパー・ウィングを試しましたが、Escobarのチキン・ウィングも美味しかったです。

お店の前には2 Chainzの息子、Haloのミューラルがあります。

話題の観光スポット、トラップミュージックに捧げられたTrap Museumにも訪れました。

Trap Museumの裏手に到着し一番先に目についた珍光景がコレです。水とペニー硬貨がたくさん入ったジップロックの袋が吊り下がっています。

一体何かと思いきやハエの虫除けだそうです。ちゃんと科学的にも証明されている方法だそうで、海外旅行で余ったペニー硬貨の使い道として日本でもいかがでしょうか。

トラップの定義や詳しい歴史が説明されているパネルが展示してありました。

トラップハウスを再現した部屋です。B級ブラック・コメディ映画でよく目にするビニールを被せたソファ!!!

Young Jeezyことスノウマンのブースです。愛らしいコカイン仕様の雪だるまがいました。

コカインを運ぶトラップバードもいます!ちなみに、コカインやアンフェタミン、ヘロインの塊を意味するスラングに「Birds」「Snow Birds」などがあります。

T.I.の武器コレクション、防弾チョッキ、スーツなどが展示されているブースです。

その他にもトラップやアトランタのラッパーをモチーフとしたアート作品や写真などが数多く展示されていました。

今年の夏にロサンゼルスのDelicious Pizzaで期間限定でオープンしたLil Trap Houseで展示されていたNipsey Hussleのアートもありました。

他の観光客と混じってトラップハウス脱出ゲームにも参加しました。トラップハウスに隠された暗号メモ、銃、薬物運搬用ダッフル・バッグ、コカイン(小麦粉)、鍵といったアイテムを見つけトラップハウスから脱出します。本当にツッコミどころ満載の楽しいミュージアムです。

最後はヒップホップ的にも重要な老舗ストリップ・クラブ :Magic Cityに訪れました。女性ダンサー達がバタバタお店に入って行く出勤時間帯でしたが、日本では見る機会がなさそうなお尻の大きなダンサーを生で目撃し、大変感銘を受けました。

ということで、アトランタを東西南北巡ったヒップホップ・ツアーの内容は以上になりますが、いかがでしたでしょうか!? ビルが立ち並ぶダウンタウンから自然溢れる郊外まで、アトランタの濃厚なカルチャーと歴史を肌で感じることができました。初めてのアトランタだからなのか、ニューヨークやロサンゼルスといった都会に比べると治安が悪いといわれる地域が外からは非常にわかりにくい印象があります。 そのことを、アトランタ通の渡辺志保さんに聞いてみたところ、犯罪やドラッグなどが庶民の生活の中に溶け込んでいるからでは?というコメントで、妙に納得しました。訪れる回数が増えるにつれ、愛着が増しそうな魅力溢れるアトランタ!また機会があれば訪れたいと思います。

HIP HOP TOURS OF ATLANTA
今回お世話になったYAPPARI HIPHOPオススメのアトランタ現地ツアーがこちら!アトランタに点在するヒップホップに所縁のあるスポットを東西南北巡ってくれます。アトランタには地下鉄MARTAもありますが、ダウンタウン以外は車がないと移動が難しいため、とても便利です。
※参加人数や時間帯によって料金は変わります。
※事前にオンラインで予約/決済できます。
TripAdviser

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