“メンフィス・ジューキン”おすすめドキュメンタリー2本!

“メンフィス・ジューキン”おすすめドキュメンタリー2本!

2013年に、アメリカ南部のテネシー州メンフィス発祥のストリート・ダンス「メンフィス・ジューキン」(Memphis Jookin)についての記事を書きましたが、2020年にメンフィス・ジューキンに関する注目のドキュメンタリーを2本発見したので、続編としてご紹介します。

Netflix「Move ー そのステップを紐解く ー」(2020)

世界中の振付師とダンサーに焦点を当てた5部構成のNetflixドキュメンタリー・シリーズのエピソード1で、メンフィス・ジューキンを世界的に広めたLil Buck(リル・バック/チャールズ・ライリー)が出演しています。

ヒップホップの振付師の先生からバレエを薦められ、奨学金を得てダンス学校で本格的にバレエを学んだLil Buckですが、葛藤の末「タイツ必須なら帰る!」とタイツを拒否したエピソードや彼のダンスに対する情熱が垣間見れて、非常に元気がでる内容でした。また、ブラック・ライヴズ・マター運動の影響もあってか、ストリートダンスやヒップホップが、社会的地位、経済状況に立ち向かうためのアクティビズムであることを語っており、ダンサーをはじめヒップホップ好きにオススメの作品です。

Lil Buckに関しては、世界的に有名なチェリスト:Yo-Yo MaとのコラボレーションやGAPのCMに起用されるなど、2012年ぐらいまでは以前の記事で追っていたのですが、その後も多方面で活躍し、2019年にはダンス・ワークショップで来日も果たしていたようです。

【2014】スパイク・リー監督のアメリカのホラー映画 「Da Sweet blood of jesus」の冒頭に登場。

【2015】ハイブランド:ヴェルサーチとのコラボレーションでスニーカーのコレクションを発表。

【2016】ジャズ・トランペットの巨匠:ウィントン・マルサリスの「SPACES」に出演。動物の世界へ探検を”ジャズビッグバンド”と”モダンダンス”の融合から表現するというプロジェクト。

【2017】UNIQLOのウルトラストレッチスキニージーンズのCMに出演。

【2017】AppleのAirPodsのCMに出演。


Amazon Prime「Gangsta Walking the Movie」(2007)

2作目は、メンフィス・ジューキンのルーツとされ、80年代からメンフィスに根付いているダンス・スタイル「ギャングスタ・ウォーク」を軸に、メンフィスのラップとダンス文化にフォーカスした超絶ドープなB級ドキュメンタリー「Gangsta Walking the Movie」です。2007年に制作されDVDで流通していた作品が現在AmazonPrimeで見れるようになりました。ドキュメンタリーというよりは、メンフィス地元の重要人物たちがギャングスタ・ウォークについて語る証言映像集といった方が良いかもしれません。

▼出演アーティスト
故Lord Infamous、故Soni D、La Chat、Dj Squeeky、Drumma Boy、GangSta Boo、Slice T、Pretty Tony、Ray the J、Kingpin Skinny Pimp、Frayser Boy、Tela、Jack Frost、Kia Shine、Don Trip、Miscellaneous、DJ Jus Borne、Gangsta Blac、MJG、DJ Paul、Crunchy Black、8Ball、Mack E、Lil Wyte、Gangsta Pat、Lil Blunt、Euro Mil、Yo Gotti、Juicy J、Christyles

▼出演ダンサー
G Nerd、Lil Daniel、Jamaal、Lil Buck、Lil Wolf、BoBo、Richard、Gino、Martell、Rico、KeSean、

Netflix「ヒップホップ・エヴォリューション」シーズン4エピソード2に収録されているメンフィス特集では、80年代のメンフィス・ヒップホップの黎明期に重要な役割を果たしたDJ Spanish Flyをはじめ、8 Ball&MJG、La chat、Gangsta Pat、Gangsta Boo、DJ Squeeky、Three Six MafiaのDJ Paulが出演し、ギャングスタ・ウォークについても触れています。こちらのドキュメンタリーは、その内容の濃さを5倍にした大変貴重なメンフィス・ヒップホップ資料映像と言えます。

R.I.P. DJ Soni D

Juicy J がDJ Spanish Flyと共にメンフィス・ラップのパイオニアと呼んでいる故Soni Dの証言によると、ギャングスタ・ウォークは1980年代にメンフィス北部で生まれたと言われており、当時はダンスの名称も無くメンフィスの人たちが楽しんでいたダンスでした。その後、メンフィス南部ホワイトヘイヴンボーヴァン家(The Bovan’s Family)という地元で有名なファミリー(おそらくドラッグ犯罪組織チーム)の人たちが公共の場でギャングスタ・ウォークを踊りはじめたため、最初は「ボーヴァン」と呼ばれていたそうです。

1986年頃、メンフィスのあちこちでこのスタイルのダンスが踊られていましたが、これといったダンス名称が無い状況でした。当時メンフィスで大人気だったクラブ”Club No Name”が、テレビ用のCMを制作する際にダンスに名前をつけようということで、そこで雇われていたDJ Spanish Flyが「ギャングスタ・ウォーク」と名付けたと証言していました。一般的にギャングスタ・ウォークは”Club No Name”発祥と言われていますが、いろんな段階を経ていたようです。

2013年当時のリサーチでは知り得なかったメンフィスのヒップホップ/ラップシーンやギャングスタ・ウォークに関する貴重な話が多数収録されており、目から鱗の内容です。字幕がないのが残念ですが、メンフィス・ラップ好きは一見の価値があるオススメのドキュメンタリーです。

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