YAPPARI HIPHOPニューヨーク紀行

YAPPARI HIPHOPニューヨーク紀行

どうも、YAPPARI HIPHOPのAkkeeです。8月にニューヨークへ遊びに行ってきました!単に夏休みをとってニューヨークに遊びに行ったというだけなのですが、相変わらずのヒップホップ三昧で、個人的な趣味であるヒップホップ研究の資料集めなど含め面白かったので、ちょこっと書いてみたいと思います。


趣味のヒップホップ研究の資料集めは、ニューヨークの図書館で保管されている資料を事前にオンラインで下調べして、ハーレムにあるショーンバーグ黒人文化研究センターとマンハッタンのリンカーン・センターにあるパフォーミングアーツ図書館という2つの図書館に数日間通ってきました。アメリカの大学にも資料が保管されているのですが、調べたところ残念ながらニューヨーク市内には無かった。

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※1981年のブレイクダンスに関する記事(ヴィレッジ・ボイス)

ハーレムにあるショーンバーグ黒人文化研究センターは、黒人文化研究センターというだけあって、黒人文化に関する貴重な資料が多数所蔵されており、もちろんヒップホップ文化に関する資料や雑誌、本も数多く所蔵されています。初のニューヨーク図書館カードを作って、いざ作業開始!スティーブン・ヘイガ-というジャーナリスト兼ライターによるヒップホップ研究コレクションが今回1番の目当てだったのですが、予想通りドープでございました。80年代の彼がリサーチしたヒップホップ研究資料や、研究を元に書いた本の原稿、当時のNYギャングの新聞記事、当時のトミー・ボーイからの手紙やメモなどがファイルされていました。上記2枚の写真は、1981年に発行されたもので「ヒップホップ」という言葉さえも使われておらず、当時のグラフィティとブレイクダンスについてのムーブメントについて書いてある記事です。

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※1982年のスティーブン・ヘイガ-による記事「Africa Bambaataa’s Hip Hop」(ヴィレッジ・ボイス)

スティーブン・ヘイガ-は、当時サウス・ブロンクスで起こっていたヒップホップ・ムーブメントについてリサーチし、1982年のヴィレッジ・ボイスに「Africa Bambaataa’s Hip Hop」という記事を書いた人物です。これが印刷物で初めて「Hip Hop」という単語が使われた記事だと言われています。あの有名な「ビート・ストリート」というヒップホップ映画も彼が絡んでおり、彼がオリジナル・ストーリーを執筆し、それをハリー・ベラフォンテに売り渡し、ハリー・ベラフォンテさん等が同名タイトルで映画化したものだそうです。スティーブン・ヘイガ-さん、現在は「High Times」というマリファナ雑誌で活躍されているようです!

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その他には、現地のローカルなヒップホップ雑誌やソース・マガジン第1刊号から年代を追ってチェックし、後でじっくり読めるよう、気になったテーマの特集記事などをコピーして資料をゲトるという作業をひたすら続けてました。まさに時間との戦いでした!

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西海岸ヒップホップの歴史で重要なラジオ局「K-DAY」の記事を見つけたり、ニューヨークの友達のが97年ソースマガジンのマイナーなファッション・ブランド広告にモデルで載っていたり驚きです。現在、ゲトってきた大量の資料を少しずつ読みこんでいるので、面白いネタがあればYHHで書いてみようと思っております。

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リンカーン・センターにあるパフォーミングアーツ図書館では、キーワード別で「新聞の切り抜き」が多数保管されていました。「ヒップホップ」でファイルされている新聞の切り抜きを閲覧し、これまたコピーの嵐です。声を出さずに「ワーオ!ワーオ!」と驚きまくっていたのを白人の図書館司書のオジサンに目撃され、ニヤっと「ずいぶんと楽しそうだね!ホッホッホッツ!」と小声で囁かれました。実際、楽しかったのでございます。

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そんなこんなで、図書館デイズは続くのですが、ニューヨーク初日には、近くのBAM (Brooklyn Academy of Music)で行われていたAloe Blaccの無料野外コンサートに行ってきました。平日の午後にコーヒー片手に生アロー・ブラックは贅沢すぎです。夜は、ブルックリン・ボールというボーリング場で行われているQ-TIPのパーティへNY在住のDJ CUTBIRD君に連れて行ってもらい、Q先生の90′sセットで盛り上がる予定がヒップホップ談義に熱が入ってしまいずっと立ち話でしたが、CUTBIRD君ドープでございました。

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次の日は、Zulu NationのMC K-Swift氏のバックアップでスパニッシュ・ハーレムのコミュニティセンターで、青少年向けのグラフィティ・ワークショップ・プログラムに参加しました。Zulu Nationのグラフィティ・ライターであるZulu King Sloneというレジェンドが子供たちにグラフィティを教えていました。Zulu King Sloneはとても穏やかな方で、スプレーでグラフィティを描くという行為が自分にとってスピリチャルな行為であること、悪い事ばかりしていた少年期に、近所に住んでいた日本人画家との出会いが転機となり、グラフィティを通してクリエイティブな方向へ転換していったという自身の人生ストーリーを語ってくれました。

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10代の子たちと一緒に画用紙にグラフィティを描いたりして超楽しかったのですが、後に、そこにいた子供たちは犯罪などに手を染めてしまったため、このプログラムに参加している事がわかりました。ニューヨークのフッドの子供たちが置かれている状況が少し垣間見れた気がしました。日本人のライター SHIROちゃんもボランティアで参加しておりました!

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翌日は、ブルックリンのベッドスタイの滞在先からすぐ近くの超ローカルな公園にて「ユニバーサル・ヒップホップ・パレード」という町内祭レベルなローカルな催し物があると聞いて徒歩でふらっと行ってきました。これがまたZulu Nationやヒップホップ初期世代のOGな方々ばかりが大集合してまして、これまたトゥルー・スクールな日でございました。

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ブルーのTシャツを着ているのが、BOM5という日本に住んでた事もあるグラフィティ・ライター兼ブレイカーなOGで、色々な人を紹介してくれてお世話になりました。中でも軍服のようなものを着ている貫禄のあるZulu Nationの方が、DJであれば誰もが1枚は持っているヒップホップ創世記のレベールB-Boy Recordの創設者でした!この日は「ワーオ!」という感嘆を何十回と連発した日でした。

町内をパレードしている間、Zulu Nationの方々からBambaataa先生がいかに偉大な人物であるのか、ヒップホップとはなんぞや?といった内容のヒップホップ講義を永遠とされましたが、結局のところ、このコンクリート・ジャングルでいかにピースフルなマインドをキープするのか!?という精神論でございました!また、パブリック・エネミーやKRS-ONEなどポリティカル・ラップの重要さを語られ最近のヒップホップへの批判をしだしたオールドスクール万歳党のオジサンたち。「現在、西海岸にケンドリックラマーという20代のドープなMCもいますよ」と言うと「俺は生まれてこのかたブルックリン生まれブルックリン育ちだから西海岸のことは知らん!」ちゃんちゃん!ってな感じで終了。寅さん並のニューヨーク魂に負かされましたが、Zulu Nationのブルックリンのどこかの支部の皆さん大変お世話さまです!

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地元の空手教室、ジャンべ・サークルといった団体とブルックリンの町内をパレードしたのですが、空手グループが一番シュールで素晴らしかったです。アジア人がいるのに気づいたのか、コチラをチラチラ見ながら、「オッシュ!オォ~ッシュ」という掛け声と共に、真剣な眼差しでバウンシーな「形」を披露しておりました。「オッシュ!オォ~ッシュ」はおそらく「押忍」と言っているのだと思われます。

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DJ Ted Smoothさんのオールド・スクール・パーク・ジャムにも行ってきました。この日は多くのDJが出演しており、Eddie B Swift、Dummyちゃんや、Breakbeat Lou、Amayssちゃん等に会ってお話しできてとても楽しかったです。

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CommonやJ ColeのツアーDJをしているDJ DummyとThe X-EcutionersなBoogie Blindさん

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スミノフのDJリアリティTV番組「Master of the Mix」シーズン2で優勝したMell Starrと、Scram Jones

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Ultimate Breaks&Beatsの鬼45なBB LOUと先週来日していたDJ Ted Smooth!

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ブロンクスを東西南北ドライブもしました!案内人はブロンクスが地元のBom5さんです。今回初ブロンクスだったため、観光ガイドブックに書かれていた注意書きに影響され、ブルックリンやクイーンズよりもソワソワしながら電車でブロンクスに向かいました。でも、クラックヘッドと思われる白人のオジさんが路上で死んでるか寝ているかしていたぐらいで日中は大丈夫でした。心配性の私は超警戒モードで過ごしましたが、ニューヨークのガイドブックにはハーレムの~丁目から上は危険だとか、ブロンクスはあーだこーだ書かれていますが、基本的に世界中どこでも危険物・危険人物が現れればどこでもデンジャラスだということを再確認しました。

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※ブロンクスの白人リッチ層にある謎の家!毎シーズン、家のデコレーションを変える有名な家だそうです。

ブロンクスは白人層の住むリッチ・エリアからヒップホップ的に重要なサウス・ブロンクスまで、町の風景や人々の様子の変わり様がよく観察できて超面白かったです。驚いたのが、ブロンクスには「City Island」というブロンクスからしか行けない小島があって、ちょっとした港があるんですね!ロブスターやシーフードのレストランがあり、ここは本当にブロンクスなの?といった感じでした。

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こちらは、アフリカ・バンバータ先生が育ったプロジェクト内に併設されているバム先生がパーティをやっていたコミュニティセンターです。ひと昔より随分キレイに改装され、エコ・システムまで取り入れている現在のプロジェクトです。ロック・ステディ・クルーがよく練習をしていたという公園なども巡りました。何故だかピースフルなイメージが強いブレイク・ダンスですが、Bom5さんの話によると、当時のブレイク・ダンスはバトルが故にサークル内で踊ってる最中に対戦相手側にナイフで体を切られたり、結構タフなバトルだったようで驚きました。

グラフィティのワークショップ・プログラムと同じティーンの更生!?目的のレコーディング・ワークショップ・プログラムにも参加しました。そこでは、窃盗、強盗、喧嘩、殺人といった犯罪に関わってしまった10代の子供達が、自分でノートにリリックを書いて、自分の好きなトラックでラップし、レコーディングしてました。ルぺ・フィアスコのような13歳の渋いラッパー男子や、人なつっこいスキンヘッドの女の子シンガーなどいましたが、貧困、犯罪、ギャングといったものが身近にあるってこういうことかと実感した瞬間です。そういった状況からティーンを遠ざけるために、こういったプログラムをボランティアでやっている人たちがいるのは本気でビガップです。人々のために、コミュニティのためにというのは、こういうことなのか!と、商業ヒップホップでも遊びでも、趣味のヒップホップでもない、子供達をサポートするヒップホップが存在していました。

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ニュージャージーで行われたRAKIMの無料ライブにも行きました。人生初のRAKIMのライブで大興奮だった私は「俺はどこへも行かない!いつまでもお前らと共にいるぜ!」というシャウトに大興奮しているのも束の間!隣でビートルズの凱旋ライブ並みに騒ぐ、現地のゲトーなオバちゃん。黒人のコメディ映画でしか見たことのないような人が実際に存在するのだ…と唖然としつつも、彼女のノリノリなダンスでケツ・パンチをくらいまくって、私は何も抵抗できませんでした。タバコをくわえながら「ラキ〜ム!アイラビュ〜♡」と絶叫するフォンキーなオバちゃんにとって、ラキムはHIROMI GOのような永遠のアイドルなんでしょうね。

滞在先から3ブロック先のブルックリン町内の一角ではこんなご近所ブロック・パーティ!こんな大きなサウンドシステム持ってきて、超爆音でBBQしながらご老人から赤ちゃんまで皆でチルって楽しんでいました。音楽はヒップホップTOP40で、お爺ちゃんお婆ちゃんもよくこの爆音に一日中耐えられるなぁと、日本では確実にありえない光景で、超羨ましい限りでございます。

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ニューヨークの「食」というかフッドの人が普段食べていると思われるご飯も良かったです!こちらはJimbo’s BurgerというA$AP Rockyのミュージックビデオにもチラッとでてくるお店の別店舗です。案の定60%ぐらいしか食べきれませんでした。

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こちらはハーレムにあるDoug E Fresh先生のレストランです。「ワッフル&シュリンプ」をオ―ダ―してみましたが、こちらのワッフル思ったよりスカスカで重くない!そしてシュリンプが超美味しかったです。といっても、フライドチキンの衣でエビを揚げただけだと思われますが!杖をついたオバアチャンまでもが、こんな脂っこいご飯を食べるんですな!滞在先のエリアは車が通るたびにヒップホップではなくソカを頻繁に聴きました。トリニダード・トバゴの移民の方が多いエリアなのか、トリニダード・トバゴのお店も充実しておりました!ベイク&シャークという、鮫の揚げものを挟んだサンドイッチみたいなヤツ!超美味しいです。歴史的にイギリスの植民地だった時代に大勢のインド人が労働者として移住してきた事もあってかインドのカレーみたいなのもありました。

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ということで、旅の最終日ギリギリにスミフンのスティール先生とシニカル・スミス女史のお宅にお邪魔したり、パーティに行ったり、アーティストと遊んだり、スタジオに連れてってもらったりしましたが、みなさんもニューヨークへ行った際は、是非安全にヒップホップを満喫しましょう!

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