ISSUGI from MONJU インタビュー

ISSUGI from MONJU インタビュー

EARR 表

東京のアンダーグラウンドシーンを代表するMONJU / DOWN NORTH CAMP / SICK TEAMでの活動でも知られ、ソロとして3枚目のアルバム『EARR』をリリースしたISSUGI氏にYAPPARIHIPHOP突撃インタビュー!新作アルバムやヒップホップについて「感覚」や「ノリ」をキーワードに語って頂きました。SICK TEAMのプロデューサーとしても活躍し、今作にもキーボードで参加しているBUDAMUNK氏にも同席いただきました。

– 『EARR』というタイトルですが、「EAR」(耳)のRが2つになっていますが、何か特別な意味などはありますか?

ISSUGI : EARの意味は「耳」とかですけど、Rがもう1個ついている見た目が凄く気に入って、それがデカイですね。あと、DOGEAR RECORDSが自分たちのレーベルなので、そのEARというのもあります。

– ファースト・アルバムのプロダクションは16FLIPが担当していて、前作『THE JOINT LP』 は、様々なプロデューサーが参加していました。今作のプロダクションをまた16FLIPのみにしたのは?

ISSUGI : セカンド・アルバムを出して、SICK TEAMのアルバムを出して、DJ SCRATCH NICEのミックスを出したんですけど。そこからアルバムを作るっていう時に、もう一度、全部同じビートメイカーにするのもいいかなって。

– ミックスはPUNPEEさんですね。

ISSUGI : ファーストの時からミックスしてくれていて、出してくれる音が昔から好きで今回も頼みました。

– BUDAMUNKさんが追加キーボードで参加されていますね。

BUDAMUNK : 70年代の古いオルガンみたいなのを持っていて、16FLIPのビートに乗せた感じですね。

ISSUGI : BUDAくんにこう弾いてくれっていうのは、特に頼んでいなくて。そのトラックに合わせてBUDA君がのせてくる音が好きだったので、凄く面白いかなと思って。

– SICK TEAMのアルバムが出てから結構時間が経っていますが、自分の中で変化などありましたか?

ISUUGI : アーティストって、アルバムを1つ出すだけでも、だんだん変わっていくと思うんですよね。感情もかわるし、グルーヴも変わってくるし、とっているリズムもどんどん変わっていくし。そういう面で、常に変化していると思います。

– 今回もフィーチャリングしているアーティストは身近な人選ですが、例えば他の人とやってみたいというのは無かったんでしょうか?

ISUUGI : 無いというか、トラックを聴いたときに「この曲はコイツとやりたい」という直感のまま作ったっすね。

– 「One On One」という曲のラインで「あのポスターのロード 目に付いたモノ 俺を変えた 生きてる目線」とありますが、生きてる目線を変えたものは何なのでしょうか?

ISUUGI : リリックは感覚で書いてるんですけど、ヒップホップを好きになり始めた頃に自分がやられたものですね。アーティスト誰々って訳じゃなくて、ヒップホップ自体っすね。初めてヒップホップ聴いた時にやられたもの、雰囲気とか自分が感じたものですね。

– それでは、ISSUGIさん自身についてですが、ラップをやり始めたきっかけは?

ISSUGI : 俺がヒップホップ聴き始めたときって、日本人だとBUDDHA BRAND、SHAKKAZOMBIEとかKING GIDDRA(現、KGDR)とかいろんな人たちがアルバムを出してた頃で、そういうのを聴いて、日本人でやっている人がいるんだって思って、友達とやり始めました。それまでも、外人のヒップホップ聴いてたと思うんですけど、その時は自分でやろうという気持ちはまだ芽生えてなかったですね。それでやり始めるうちに、仙人掌やYAHIKOとかにあったりして自然と今に至るという感じすね。

– Down North Camp(以下、DNC)は、どのように結成されたのでしょうか?

ISSUGI : DNCに関しては、俺も出来上がった後に入ったじゃないですけど、俺はライブを観てたりしてたんです。友達の友達がDNCだったっていうか。そこから俺もDNCに入ったという感じですね。入ったというか、なんていうか (笑) 。元々、ばらばらでPUG、仙人掌や俺もソロでやっていて、だんだん仲良くなって、一緒に遊びはじめて。そういう普通の繋がりですね。

– スケーターの集まりといったイメージもあるのですが。

ISSUGI : スケボーは、中一から中3ぐらいまで、めっちゃハマってましたね。今も好きなんですけど最近は全然やってないですね。自分はSKATEやってなかったらヒップホップ聴いてなかったかもしれないんで、かなりデカいっす。でも特にDNC全員がスケーターとかじゃなくて、やらない人間の方が圧倒的に多いし(笑)。いろんなヤツが居すぎて、音楽とか関係ないんですよね。自由業ですね (笑)。

– 日本のヒップホップ・シーンに感じるものはありますか?

ISUUGI : 俺は自分の周りのヤツらが好きっすね。

– ISSUGIさん以外にも、仙人掌などDNCでのリリースが立て続けに予定されていますが、今年はまとめて出そうといった感じはあったのでしょうか。

ISSUGI : 偶然なんですよね、全部。みんなコントロールできない人間達なので、その時がたまたま今年だったみたいで (笑)。この話になると、いつもこれ話しちゃうんですけど、惑星が回っていて、その並び方がちょっと面白い年みたいな感じですかね。

– YAPPARI HIPHOP恒例の質問なんですが、あなたにとって「ヒップホップ」とは?

ISSUGI : うまく言えないんすけど「感覚」すかね。

BUDAMUNK : 「分かるヤツにしか分からないアート」かな。そのノリを分かるヤツにしか理解できないみたいな。

ISUUGI : あー確かに。だから、俺も言葉で言える感じじゃないっすね。「感覚」なんですよね。そうっすよね?(笑)

BUDAMUNK : そうだね (笑)。 俺はビートしか作ってないから、リリックとかは含めてないけど、ビートとか、ノリとかグルーヴとか分かるヤツにしか分からない「ノリ」だと思うんだよね。聴き込まないとわからないと思うし。向こう(US)だったら、ヒップホップ聴いて育っているから、その感覚が自然に身に付いているヤツいっぱいいるけど、たぶん、日本はそうじゃないと思うから。

ISSUGI : 俺、世界観が出てる人が好きなんですよね。普段その人が考えていることだったり、日々感じていること、ノリの部分が音楽に出ると思うんですよね。そういうものを感じるのが好きっすね。そういうのは、その人が年とっても変わらないものだと思うし。自分が好きなプロデューサー、J Dilla、The Alchemistとか、勿論BUDA君とか、そういう空気を感じさせてくれるんですよね。そういうのってカッコイイと思うし、インストだったとしても、そこに感情が入っているんですよね。

BUDAMUNK : 俺は、ラップがのっている作品はやっぱりシンプルなビートの方が好きなんです。そのシンプルなビートの中で、どれだけ深いものを出すかというのが難しい。音をいっぱい出せば、いくらでも色んなことできると思うんだけど、シンプルな、これしかできない中で、何をするかっていうのを突き詰めるのが面白いですね。

ISSUGI : あとは、感性とか世界観の話に近いんですけど、どんなに衝撃的な人生を送っていても感性が平凡だったら、もしかしたら産まれるものってツマラナイかもしれないんですよね。逆に、ものすごく穏やかな人間だったとしても、感性が飛び抜けている人とかぶっとんでいる人っていうのは、その部分がイカついんで、そこから起伏だったりグルーヴを生むと思うんですよ。俺が思うに、日本人って起伏が無いように育てられているわけじゃないですけど、小さい頃から答え通りを求められてるというか、正解はコレですみたいのを無意識に意識させられてる気がするので、何かを作ったときに平均的だったり、平坦な感じがあると思うんですよね。もっと、ヒップホップってめちゃくちゃだと思うし。間違ってても、自分が良ければいいみたいな荒々しい部分とか、そういうものが「ノリ」を作っていると思うんですよね。

BUDAMUNK : 「ノリ」「グルーヴ」「空気感」て、自分の体でしか感じられないものだから、それをどうやって自分で表現するかっていうね。

– 先日、日本のストリート・ダンスについて調べていたんですけど、ダンスとかも「こうやって踊るんだよ」って教えられて踊るから、自己表現というより、みんなで一緒にやるスポーツみたいなものだと言っている人もいました。

BUDAMUNK : たぶん、ダンスもビートとかラップと一緒だと思うんですよ。振り付けを覚える的なことよりも、本当は自分の体で感じた「ノリ」で動かないといけないものだし。体を動かす瞬間とか、止める瞬間をどこにもってくるかとか、そのタイミングが大事だと思うんですよね。ラップも言葉をのせるタイミングとか間が大事だし。ビートも一緒だと思うし。

ISSUGI : たぶん、みんな知識みたいなものにとらわれて、ただそれを集めようとしているから。それって結局ただの情報なんすよね。それより、自分しか知らないものを出すことが必要とまでは言わないですけど、自然とそういうものになっているんじゃないかと思いますね。人から得るものも大事だけど、自分自身が得たものが、かなりのモノを生み出していると思いますね。自分しか知らないヤバさって、限りなく強くてピュアなものだと思うから。それが絶対その人にしか出せないものになるって思うっすね。

BUDAMUNK : 自分の中から出てくるものを出さないとね。

– 今後のライブ等の予定は?

ISSUGI : 2月16日に池袋BEDでのイベントRefugee Marketでリリパがあるっす。あとは6月16日に場所が変わって代官山UNITでRefugee Marketがあります。メンツも俺らDOGEAR、Down North Campだけだと思うんで。あとは今、京都や九州にLIVEにいく予定があるんで近かったら遊びにきてほしいっす。

– 最後にYAPPARI HIPHOPを読んでいるみなさんに一言どうぞ!

ISSUGI : とりあえずアルバム聴いて欲しいっすね。固い頭じゃなくて、普通に聴いて「ノリ」を感じてもらえれば。それでライブ来てくれたら最高です。

– ありがとうございました!

[2013/2/某日]
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ISSUGI from MONJU
http://www.dogearrecordsxxxxxxxx.com/

東京を中心に活動するMONJU/DOWN NORTH CAMP/SICK TEAMのメンバー。仙人掌、Mr.PUGと共にMONJUとして『CONCRETE GREEN』を始めとする数々のCDへの参加で注目を集め、2006年にファーストEP『103LAB.EP』、2008年にはセカンドEP『Black de.ep』をリリース。2009年にはソロとしてのファースト・アルバム『Thursday』をリリース。16FLIPと共に作られた音楽性はISSUGIのスタイルや空気を一枚で浮かび上がらせ、音源を通して各地に届くようになる。以降は東京内外からのライブ・オファーで遠征する中、2010年にセカンド・アルバム『TheJointLP』をリリース。16FLIPに加えBUDAMUNKY(a.k.a. BUDAMUNK)、MASS-HOLE、PUNPEE、Malik、K-MOONをプロデュースに迎え、自身の内面をより深く投影した作品で着実に一回り大きくなった存在感を残した。2011年にはBUDAMUNK、S.L.A.C.K.とのユニット、SICKTEAMとしてのアルバムやDJ SCRATCH NICEとのミックステープ『WHERE OWN WONDER』をドロップ。数々のライブや作品で聞かせるフロウとリリックは独特なスタイルであり、MONJUやSICKTEAM、SCRATCH NICEとのコラボ名義を経て、さらに色濃く自身を表すようになっている。

<< ISSUGI ライブ・スケジュール>>

2/16(SAT) REFUGEE MARKET
ISSUGI FROM MONJU “EARR” Release Party at 池袋bed
3/22(FRI) bed 16th ANV
REFUGEE MARKET at 池袋bed
4/14(SUN) REFUGEE MARKET
Mr.PUG, KID FRESINO, HAKUCHUMU Release Party at 池袋bed
(DAY EVENT)
5/26(SUN) DOGEAR RECORDS x CPF Presents REFUGEE MARKET
仙人掌 Release Party at 池袋bed (DAY EVENT)
6/16 (SUN) DOGEAR RECORDS x P-VINE RECORDS Presents
REFUGEE MARKET at 代官山UNIT (DAY EVENT)


BUDAMUNK (Soul Jugglerz/Sick Team/Jazzy Sport)
https://twitter.com/budamonkfonk

ヒップホップ・ビートプロデューサー。96年にLAに渡米。後にDJやビート作りを始める。2004年にMCのJoe StylesとOYGと”Keentokers”として活動開始。Keentokersは、仲のいいクルーLive Radioらと共に”Soul Jugglerz”としても、LAアンダーグラウンドのステージで多くの通をうならしてきた。Budamunk個人としても2005年に、LAのレコード店で行なわれたBeat Battleで、唯一の日本人でありながら優勝という快挙を成し遂げる。DIBIASEらとのビートセッションに参加するなど、日本人でありながらLAのシーンで活躍してきた。2006年に帰国し、国内での活動を始めJazzy Sportに所属。2008年に日本で初めて行われたAKAI主催のMPCバトル『GOLD FINGER’S KITCHEN 2008』で優勝。Jazzy SportやDOGEAR RECORDSからレコード、Mix CDのリリースを重ね、自身のBeatシリーズ “Mokstrumentals”、S.l.a.c.k.『MySpace』のremix EP『Buda Space』が大きな反響を呼んでいる。

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