[Special] Kendrick Lamar 「good kid, m.A.A.d city」解説

good_kid_in_maad_city
米ヒップホップ各紙が高評価をつけていた2012年のマストゲットなアルバム、ケンドリック・ラマーの『good kid, m.A.A.d city』はゲットしましたか?このアルバムこそライナーノーツや詳しい対訳が非常に欲しい作品ですが、残念ながら日本版は出ないようです。ということで、TDEのエンジニア、アリさんがTwitterで紹介していたこちらのアルバム解釈を参考に補足を加えて解説してみしたいと思います。これは、アルバム全体の流れが汲めるようにした簡易な解釈で、他にも細かいストーリーが展開されています。プロの翻訳家/ライターの方にやって頂きたいのが山々ですが、筆者はプロではありませんので、誤訳など色々あるかもしれません。その点を踏まえて読んで頂ければと思います。こういった作品は様々な解釈ができる点が面白い要素ですが、皆さんの解釈の参考になればと思います。

『Good Kid, M.A.A.D City』 ケンドリック・ラマーによる短編フィルム

[ロケーション設定]
アメリカ合衆国カリフォルニア州のコンプトン
ケンドリック・ラマーが過去の自分を思い出してストーリーを語っているようです。

[登場キャラクター]
ケンドリック・ラマー   ※現在のケンドリック
K.Dot   ※10代〜の昔のケンドリック
シェレーン   ※フッド・ラットな女の子
ケンドリックのママ
ケンドリックのパパ
デイブ
デイブのブラザー  ※兄か弟かは不明
キーシャのシスター  ※キーシャは前アルバム『Section.80』に登場する売春婦の女の子で、姉か妹かは不明
ディミートリアス    ※シェレーンのお気に入りの従兄
2人の黒いフーディを着たブラザーズ ※シェレーンの兄弟!?
オバアチャン   ※シェレーンと一緒に住んでいるシェレーンの祖母
シェレーンの母親   ※クラック中毒
アンクル・トニー    ※銃殺された故ケンドリックの叔父
ジョーイ   ※ケンドリックの幼馴染か従兄と思われる人物
L、Boog、YayaとLucky   ※ケンドリックが9歳の頃の友達や家族
見知らぬオバサン   ※男子達にお祈りするよう促す人

1.Sherane aka Master Splinter’s Daughter

※ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズに出てくるこのネズミ・キャラがMaster Splinterです。

[イントロ]
(カセット・テープのようなものを再生するボタンの音)
「私を救って、私の犯した罪をお許しください」的な聖書の一部で、ジーザスへのお祈りが始まります。エイメン!
※「Sing About Me, I’m Dying of Thirst」の最後のスキットでも見知らぬオバサン&複数の男子達が同じお祈りをしています。

K.Dotは、ハウス・パーティで出会ったシェレーンという女の子と知り合って数カ月間経ちます。夏中、お互いに連絡を取り合ってお互いを良く知る仲になり、K.Dotは彼女の事を好きになり始めました。シェレーンの母親はクラック中毒で、シェレーンは弟2人と祖母と一緒にくらしているそうです。シェレーンの家族がギャング・メンバーである経緯を語り、それで、K.Dotは少し不安になります。しかし、それでシェレーンとの関係を辞めようとは思いませんでした。K.Dot は母親のバンでシェレーンの家へ向かいます。17歳のケンドリック頭の中は、シェレーンとの「H」のことでいっぱいで、運転中にシェレーンが携帯に送ってきた「おっぱい写真」を見て、前の車にぶつかりそうになったりします。シェレーンの家付近に着くと、黒いフーディを着た2人の男と一緒に家の外で待っているシェレーンを見つけ、K.Dotはガーン!と青ざめます。そんな時に電話が鳴りました。

[スキット]
K.Dotママが「あんた、どこにいるの?」とK.Dotの携帯に留守電を残しています。15分で戻ってくるとバン(おそらくデラックス・バージョンのアルバム・カバーの車)で出かけたK.Dotがまだ戻ってこないようです。車が必要なママは困っています。また、ストリートで問題を起こさないでよ!フッド・ラット、特にクレイジーなシェレーンには気をつけなさいと忠告しています。K.Dotママが話している後ろでは「マザファッキン・ドミノをどこにやったんだよ!?」とK.Dotパパが必死にドミノ(ゲーム)を探しています。「Cut my motherfuckin’ oldies(Otis) back on, you’re killing my motherfuckin’ vibe!」という最後のK.Dotパパの言葉で次の曲に入ります。

※フッド・ラット: フッドのネズミ/一般的に誰とでも寝ちゃうフッドの女の子/ゲトーで派手目な格好でいることが多い

2.****, Don’t Kill My Vibe

ここでは、ラッパーとしてのケンドリック・ラマーの考えを語っています。徐々にラッパーとして人々に認知されてきたケンドリックが自分の周りにいる人間が変わっていく状況を「自分の周りにいる新しい人間たちが、ただ有名になりたがっているのを感じる」と語っています。また、メインストリームのアーティストになっていく一方で、自分の信念をキープし続けることも語っています。「俺はヒップホップを続けようとしているし、俺達の好むフィーリングには妥協しないぜ。お前は、自分自分に妥協してラジオ局がかける音楽に右向け右!」といった感じです。

[スキット]
K.Dotの仲間たちが、白のトヨタ車でK.Dotを迎えにきました。ビートCDとブラックス(ウィード)があるから早くこいよ!フリースタイルしようぜ!

3.Backseat Freestyle

K.Dotは、仲間と町をドライブ!ウィードでハイになって車のバックシートでフリースタイルをかましています。自由を感じてトラブルとは無縁な仲間との楽しいひとときです。自分が普段見慣れているもの、生活、お金、権力やストリートでのプロップスしか目に入らないコンプトンに住む10代のコンプトンの若者がフリースタイルしています。

※フックでフランスのエッフェル塔が出てくるのが謎でしたが、通常「Money,Power and Respect」となる部分を「Money and Power / Respect my mind…」の部分のパ(ワ)ーリス(ペクト)で、エッフェル塔のある「パリ」と言葉遊びしている!?という事を発見しました。

4.The Art of Peer Pressure

仲間と過ごす時間が、ただ単に楽しくフリースタイルして遊ぶ以上のプレッシャーがあることを語っています。人生を台無しにしたくないK.Dotは、いつも素面でドラッグなど全くやらず、酒で泥酔することもなく、暴力とも無縁なピースフルな性格です。しかし、「仲間」と一緒になると、そういったものに手を出してしまうと語っています。白いトヨタ車で町をドライブし、女の子をナンパしたり、敵対するギャングの男を襲ったりと、自分達が実際にした事を話しています。こういった仲間からのプレッシャーとの葛藤はよく映画などで描かれていると思います。映画『ボーイズ’ン・ザ・フッド』のトレのような感じだと思われます。

途中、曲調が一変します。K.Dotと仲間たちは2ヶ月間様子をうかがっていた民家に強盗に入ります。警察が来て追われますが、なんとか逃げ切ります。仲間と一緒のラッキーな一夜です。

[スキット]
K.Dotは変なブラント(ウィードとコカインか他のドラッグが混ざったブラント)を吸ってしまい、意識が遠のいています。K.Dotの仲間たちは、K.Dotを帰らさて、彼の母親のバンでシェレーンに会いに行かせようという話をしています。そして、また後で落ち合おうと約束します。仲間との会話で、ヤング・ジージーの「Trap or Die」という曲のライン「Last time I checked I was the man on these streets!」を引用していますが、このラインが次の曲「Money Trees」との繋がりを示しているようです。

5.Money Trees

K.Dotは今まで起こったストーリーを要約しています。民家に強盗に入ったこと、シェレーンとHして、それを仲間に話したことや、車を止めてバック・シートでビートにのせてフリー・スタイルすることが唯一心を開放して現実を忘れることができると語っています。「車を止めてフリースタイル開始! / ドルのサインが見えて、フリースタイルを中断ヤビッシュ」と自分よりお金を持ってそうな男たちを発見し、襲った事も話しています。


※まさにBig K.R.I.T.の「4evaNaDay」のアルバム・カバーの絵のとおりです!
「ハル・ベリーかハレルヤ 毒を手に取ってどうなったか教えてよ」
快楽を選ぶか、信条に成り立った宗教を選ぶかどっちにする?

「みんな銃で撃った方の人物に関心を向けるけど、銃の前に倒れた人間は永遠に生きる」というコーラスラインが、とても重要なラインです。人生のモットー的な格言だけではなく、ストーリー上で後にデイブとデイブのブラザーの身に起きる出来事にも関連しています。また、ケンドリックの叔父であるアンクル・トニーがルイ・バーガー店で2発撃たれ殺された話にも関連しています。これらの出来事は、ケンドリックを夢見るラッパー生活から現実へと引き戻します。

「金の木は 陰を作る 完璧なところだ と思う」

これも様々な解釈が可能ですが、大金は目の前を暗くさせて物事を見えにくくするといった意味でしょうか。お金のためなら、人は何でもしてしまう。金を稼ぐようになったラッパーが、無名の頃から支えてくれた仲間を見捨てて金の方を選んでしまう。ラジオ局が大金を積まれると普段かけないような音楽でもラジオで流す。大金は人々の目をくらます「金がものをいう」ことではないでしょうか。

[スキット]
K.Dotママが再び「さっさ車を戻しなさい!」と留守電を残しています。K.Dotパパはホロ酔いと思われるご機嫌な様子で「ガ〜ル!お前の体が欲しいんだ〜デカイケツがぁ〜」と歌っています。このK.Dotパパのセクシャルなバイブスが次の曲「Poetic Justice」との繋がりを持たせているようです。

6.Poetic Justice

シェレーンや彼女との恋愛関係について語っています。おそらく2人は口論をしたのでしょう。彼女は女友達に会って、ケンドリックの愚痴をこぼし、彼と会話するよりもパーティで騒ぐ事を優先することについて語っています。「ポエティック・ジャスティス」の意味は、「因果応報」あるいは「皮肉にもねじれた運命」といったような意味のようです。シェレーンに会いに行ったのに、男達に襲われて、それが原因で悪い事が起きているようなことかと思います。

サンプリングの元ネタがジャネット・ジャクソン「Any Time, Any Place」であることから、ジャネットジャクソンと2Pac主演の映画「Poetic Justice」との関連性も示しているようです。そこからケンドリックと2Pacの関係性も示唆している様に思えます。

[スキット]
1曲目の「Sherane aka Master Splinter’s Daughter」のストーリーと繋がっていると思われるスキットです。シェレーンと一緒にいた2人の男がK.Dotに「お前はどっから来たんだ?お前の家族はどこに住んでるんだ?」と尋ねています。おそらく、どこのギャングなのか確認しようとしています。最終的に、彼らはK.Dotをバンから降ろさせ、K.Dotは襲われてしまいます。

7.Good Kid

K.Dotは、どのギャングにも属さず小柄な体格であることから自分が簡単にギャングの餌食にされてしまうこと、ギャング文化のネガティブな影響について語っています。ストリートでは、赤か青かどっちをレップしているのかというのが重要である一方、ギャングに属していない自分は一体どうすればいいんだ?慣れるしかないと語っています。赤でも青でもなくグッド・キッドでいることの大変さを語っていますが、「俺は気にしない。(ギャングは)いつか”The good kid, m.A.A.d. city”(俺)をリスペクトしてくれるだろう」と言っています。

2バース目では「赤と青」の話が警察のサイレンの色を介して「警察」の話になります。おそらく、2人の男に襲われた後に、警察がきたようです。警察は助けてくれると約束してくれたので警察との関係は良好でした。しかし、結局K.Dotの意思に反して警察は彼を連行しました。若い黒人男性は皆危ないギャングという偏見からK.Dotにも、そういった態度で対応してきます。ギャングだという警察の予想(望み)から、K.Dotに「Tシャツをめくれ」といい、ギャング・メンバーであることを示すタトゥを見つけようとしたりします。「彼(警察)にとっては、どうでもいいこと。彼は”The good kid, m.A.A.d. city”(俺)を絶対にリスペクトすることはない」と、ギャングと警察への異なった見解がありつつも、両者から悩まされて、暴力的な文化に封じ込められているK.Dotです。

8.M.A.A.D City

この曲では、K.Dotが住んでいる頽廃した都市、M.A.A.D Cityことコンプトンの厳しい現実に目を向けています。2人の男に襲われた出来事をきっかけに、K.Dotは、それと似たような遠い記憶を思い出しました。彼が9歳のときにバーガー屋で頭を撃ち抜かれた人を目撃した記憶です。(アンクル・トニーの話かあるいは、他の誰かかもしれません。)また、K.Dotの従兄が94年に銃殺されたことも語っています。

コンプトンという都市で、実際に自分がギャング暴力やドラッグの溢れた日常を経験したベテランOGとして、MC Eightが「コンプトン代表としてストリートのレッスンを教えてやんぜ!ジーヤッ!」と登場します。

「何故ケンドリックが何も吸わないのか皆気になってるけど、初めて吸った時に口から泡吹いたらどんなだか想像してみてよ」ということで、K.Dotがティーンの頃に、ウィードと思って吸った初めてのブラントが、実はウィードとコカインか他のドラッグが混ざったもので、バッドな経験をした話を語っています。その体験をきっかけに、それ以後何も吸わず、自分をよりよい人間にしたという彼の実体験が元になっているようです。

最後のバースでは、このような頽廃した都市の中で生きる良い人たちを輝かせようとしています。若いキッズ達に一息入れさせてストリートの誘惑やプレッシャーに負けなくてもいい方法を教えようとしているようです。K.Dotは自分の経験や知恵が、自分と同じような環境にいる子供達の役に立つように願っています。

[スキット]
K.Dotは約束どおり、シェレーンに会った後、仲間と落ち合います。K.Dotが2人の男達に襲われた後だったので、仲間達は、K.Dotに「そうカッカするな。リラックスして、これ飲めよ」と酒のボトルを渡しています。

9.Swimming Pools

ケンドリックの事を知っている人ならば、大量のアルコールを勧めている曲では無い事が分るかと思います。ケンドリックは、もちろん禁酒レベルの固い人間ではないと思いますが、彼は家族や友達などが、プールを満たせるぐらいの大量のアルコールに囲まれた環境で育ったことを語っています。詳しくはこちらの対訳をご覧ください

銃1丁 100つのショット 100発の銃弾=ショット100杯!?

[スキット]
仲間との会話です。デイブのブラザーがK.Dotを襲ったやつらに、なめんなよと警告を込めて銃で撃ってやろうというリベンジの話になります。その時、仲間が、K.Dotを襲った男を見つけ、車から降りて何発か撃ちました。仲間が無事か確認していると、K.Dotの仲間であるデイブが撃たれていました。K.Dotに抱きかかえられたままデイブはそのまま亡くなりました。この事件がアルバムのターニング・ポイントになります。これまで、K.Dotはシェレーンに会って、男達に襲われて、酒を過度に飲んで、リベンジしてといった流れの中で仲間のデイブが死にました。この事件をきっかけに、K.Dotは自分の人生に何が起こっているのか、やっと目を覚まします。

10.Sing About Me

フックでは「俺が死ぬとき、一番気にかけている事・・・俺の事を歌ってくれると約束してくれ」と言っています。

1バース目は、撃たれて亡くなったデイブのブラザーの考えです。
デイブのブラザーは、デイブが亡くなった翌日の朝に「明日は自分が死んでるかもしれないから」とケンドリックに電話しています。2人の男に襲われた事件の仕返しを企て、K.Dotが原因でデイブが犠牲になってしまったと語っていますが、K.Dotを責めている訳ではありません。デイブの死に間際にケンドリックがデイブに駆け寄って抱いていてくれていたことに感謝しています。デイブを愛してくれたようにデイブのブラザーもK.Dotのことを愛していることを伝えています。デイブのブラザーは自分の人生をギャングに捧げてきて、ギャングの生活しか知らないけど、ケンドリックのように、狂ったフッドから抜け出すために情熱を持てるものが自分に見つかるかどうか考えています。ケンドリックがいつまでもデイブの事を忘れないで、ケンドリックが有名になった時にはデイブや自分のストーリーを歌うと約束してくれと言っています。そして、もしアルバムが出る前に俺が死んだら・・・という話の途中で「パンパンパン!」と、デイブのブラザーも撃たれています。

2バース目は、キーシャのシスタの考えです。
キーシャのシスターは「Section.80」で、ケンドリックが売春婦のキーシャの人生について歌った事について怒っています。ケンドリックがキーシャのことをよく知りもしないくせにと、キーシャの人生が不当に解釈されたと感じています。彼女もキーシャと同じく、売春婦の生活を強いられて苦しんでいますが、「私は絶対に消え失せない」と自分の生活や自分がやっている事に強気で自信過剰でいます。キーシャの死は無駄だったと思っていますが、ケンドリックからの同情なんていらないわよといった感じです。

ケンドリックは、彼女たちのように、やむを得ず売春婦の生活を強いられ何が何でもお金が必要で苦境下にいる人たちのために、彼女たちのことを歌にしてサポートしようとしています。しかし、彼女たちはすでに売春婦ということで世間からネガティブな評判を十分に受けているため、キーシャのシスターは、キーシャや自分のことを歌にして事を荒立てて欲しくないと言っています。私を助けたいんだったら、私のピンプになって金稼がせてよと話しています。「私は絶対に消え失せない」と強気だったキーシャのシスターですが、歌はだんだん消え失せています。この消え失せ方は様々なことを想像させます。

3バース目はケンドリックの考えです。
鏡を見て、死への恐怖を感じています。デイブのブラザーに話しかけ、デイブは自分の兄弟のような存在であったことを語っています。キーシャのシスターには、ケンドリックはキーシャやキーシャのシスターを怒らせるつもりはなかったと語っています。キーシャの状況がケンドリックにパワフルでリアルな音楽を作る気にさせたこと、キーシャのストーリーは語られるべきだと思っています。もし、ケンドリックがこのストーリーを語らなかったら、この後20世代に渡って同じような事が繰り返されるだろうけども、語る事によって少なくとも過ちに気付いて変化を与える影響力があるんじゃないかと考えています。

ケンドリックが書いた曲は、ケンドリックの周りで亡くなっている人々に捧げられていて、フッドにいる弱い人達に、もし過去に間違いを犯しても、現在間違ったことをしていても、自分の権利のために戦って、いつか彼らが彼ら自身の人生を生きて欲しいと願っています。そして、少なくとも、いつか誰かが自分の曲を歌って欲しいと願っています。

[スキット]
デイブが殺された後のK.Dotの仲間たちは、デイブの死について怒り心頭で話しています。デイブのために復讐をしようと感情的に話す仲間がいましたが、K.Dotはついに「ファック!こんなのにはもううんざりなんだよ!」とキレます。

11.I’m Dying of Thirst

ケンドリックは、逃げ回り人を銃殺することにウンザリしていることを語っています。ただの「死のサイクル」であり、終わらない闘争です。このマッドな都市に住んでいる人々に、俺達は一体何をやっているんだ?と問いかけています。K.Dotと仲間たちは、多くの罪を犯してきて、もがき苦しみ暴走していて、聖水(神の助け)が必要だと感じています。女、お金、権力の次は何を欲しがるんだ?何にせよ、それは俺を死に近づかせると語っています。

[スキット]
K.Dotと仲間は、デイブの死に関してまだ怒っています。すると、見知らぬオバサン(近所の人か通りすがり)がK.Dotと仲間たちに近寄ってきました。彼らの1人が銃を持っているのを見て、何故そんなに怒っているのか?自分の今の状況が分かっている?と語りかけます。オバサンは男子達にあんな達は、何かに渇望して乾ききっていて死にしそうになっているから、水(聖水)が必要です。ジーザスを自分の人生に迎え新しい別の道をたどる必要があるわよということで、彼らにお祈りをさせました。この時から、K.Dotはケンドリック・ラマーとしての新しい人生を歩み始めたようです。

12.Real

自分がやりたい事をやって、自分が言いたい事を言って、自分がリアルである事を胸はって言える、俺はリアルだイェー!と、もがき苦しんでK.Dotですが、ケンドリック・ラマーとして立ち直っていることがわかります。また、仲間からのプレッシャーから酒を浴びるように飲んだり、ウィードを吸ったり、暴力的な事に巻き込まれていましたが、それを乗り越え、「リアルであること」の異なった意味を見出しています。フッドをレペゼンして人を撃つからリアルなのか?現実から目をそむけて、酒や女、ドラックか何かで心の穴を埋めているからリアルなのか?と問いかけています。

女の子たちについて(シェレーンかもしれません)、ハンドバッグ、ネイル、利用明細書とか君に喜びをもたらす物質的なモノが大好きだけど、自分自身を愛していないでどうするの?それらのものは君をリアルにはしないよ。友達について (デイブのブラザーかもしれません)高級車、お金、軽い女、喧嘩、ストリート、フッド・ライフが大好きだけど、自分自身を愛していないでどうするの?それらのものは、君をリアルにはしない。自分自身を愛せないと何も愛せない。ケンドリックは、彼女や彼らを凄く愛しているけれど、いくら愛があっても、自分が自分自身を愛していないと意味が無いと語っています。ケンドリックにとって、自分を愛すということは、自分のリアルな欲求を見つけて、コンプトンの典型的な生活に流されることではないと気づきます。

「俺の歌を歌って、君のためだから」という最後のコーラスは、ケンドリック世代のリスナーに、ケンドリックが過去の自分を振り返って語ったストーリーから、様々な事に気づく手助けになればと思っているようです。世界にはフッドで直接見たり経験したりした以上のものがあることに気づいて欲しいようです。また、ケンドリックが語ったストーリーを実際に経験しなくてもいいように願っています。というのも、今まで説明してきたストリートの生活に陥ってしまうと、時には戻って来られなくなることもあるからです。

[スキット]
アルバムに渡ってドミノを探して続けていたケンドリックのパパですが、その事はもうどうでもよく、デイブが亡くなったことに同情を示しています。コンプトンに移住前シカゴでBlack Discipleというギャングのメンバーであったケンドリックのパパは、昔の俺のようにギャング文化に陥ってはダメだと語ります。「誰でも人は殺せるけど、それはお前をリアルにはしない」「リアルっていうのは、責任を持つ事だよ。リアルってのは家族や自分が愛している人をちゃんとケアすること。信念を貫くことだ」と語っています。

[スキット]
ケンドリックのママが電話を代わって、バンに関してもう怒ってはいない事を伝えています。TDEからスタジオ来いとの電話があったこと、ケンドリックに音楽のキャリアを真剣に考えなさいとアドバイスしています。それで、パパやママがステップできるような音楽をやりなさいと言っています。ケンドリックの仲間であるデイブが亡くなったことから、次は息子かもしれないと心配しているようです。

[スキット]
ケンドリックのママが心配しています。明日までに帰ってこなかったら…ちゃんと帰ってきて自分の過ちから学びなさい。帰ってきて!コンプトンの子供達に、ケンドリックも彼らと同じような子供だったけど、暴力で溢れた場所で産まれ育っても、ちゃんとポジティブな人間に成れると音楽で自分自身のストーリーを語りなさい。そして成功したら、希望がてるような言葉で、コンプトンのコミュニティに恩返しをしなさいと語っています。

(ナレーション終了。カセットテープのようなものが取り出され巻き戻しされています)

13.Compton

母親から助言されたように、ケンドリック・ラマーは、コンプトンという自分が生まれ育った都市に希望を持たせ恩返ししている曲です。時にダークで暴力的なもので溢れるコンプトンという都市に明るくポジティブな「希望」を見いだしています。

[スキット]
スキットの始まりで、 K.Dotが彼の母親のバンを借りて「15分で戻ってくるね!」と言っています。

< <終了>>

とても長い文章でしたが、いかがでしたでしょうか!?リリックを細かく追っていくと、こんな量では収まらないくらいの細かいストーリーやケンドリックの想いが展開されています。「Good Kid」はニュアンス的には、ギャング、暴力、酒、ドラッグに溢れた都市で育って、一度それに流されそうになったけど、必死に耐えて頑張って「真っ当に生きようと頑張った子」といったように感じます。彼の過去作品「Section .80」や「O.verly D.edicated 」もブレていないので、是非まとめてチェックしてみてはいかがでしょうか。Hiii PoWer!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です