A3C Conference and Festivalライブレポート

A3C Conference and Festivalライブレポート

Yasiin Bey、RakimBig Daddy KaneE-40DJ QuikYGBoogieSOB x RBEBuddySminoG Perico という東海岸はNYのオールドスクール世代から注目の西海岸新世代ラッパーまでが集結したA3C Conference and Festivalのライブレポートをお届けします。

Yasiin Bey 20th anniversary of “Black on Both Sides” @ The Masquerade

まずは1999年にリリースされたYasiin Bey(Mos Def)の名盤『Black on Both Sides』の20周年ライブです!前座にはアラバマ出身のTransleeがかけつけ、飛び入りでGreyも登場!Yasiin Beyが始まる頃には会場もほぼ満員に近い状態でスタートしました。

ステージのバックには歴史家ジョン・ヘンリック・クラークのインタビュー映像や、古代エジプトの映像が流れ、アフリカン・アメリカンの歴史を映し出していました。ライブがスタートすると、バラの花束を携えたYasiin Beyがステージを清める儀式のようにバラの花びらを撒きながら登場!Blue Noteニューヨークでもやっていたウグイスの鳴き声のような「ピヨピヨピヨ〜!」というYasiin Beyの口笛と共に「Fear Not of Man」からスタート!その後は「Love」へと続き、2009年のアルバム『The Ecstatic』から「Auditorium」でフロア大合唱!続いては「To the window, to the wall」と叫んでからの「Sex, Love & Money」や「Umi Says」など往年の名曲が続き、Yasiin Beyもとても楽しそうで心温まるライブでした。

Yasiin Beyが大好きだというMilton Nacimentoの「Tudo O Que Você Podia Ser」が流れ、Yasiin Beyは歌いながらダンスタイムに突入!どこで習得したのかイスラムのスーフィーのようにクルクル回ったり、三浦知良のカズダンスのようなサンバ風のステップを披露し会場を沸かせました。

Khruangbinの「Mary Always」でのフリースタイルもハイライトとなりました。謎の引退表明をしたと思ったらひっそりアメリカでライブを敢行するなど不安定なアーティスト活動を続けているYasiin Beyですが「俺も養育費を払わねば…」と近況を吐露する場面もあり、しばらくはきちんとアーティスト活動を継続すると思われます。

Lyrics & Rhymes with Rakim & Big Daddy Kane @ The Masquerade

D.R.E.S. Tha Beatnikがホストとして登場しDJ Rasta Rootがヒップホップ・クラシックスを流し会場を盛り上げていました。

クイーンズの伝説グループJuice Crewの中心メンバーとしても活躍し、多くの名曲を世に残してきたBig Daddy Kaneは予想を遥かに裏切るパワフルなパフォーマンスでした。「18歳、25歳、35歳、45歳、55歳オーバーも関係ねー!リアル・ヒップホップなヘッズどんだけいるんだ?」というシャウトに会場は大盛り上がり。

今年51歳を迎えるBig Daddy Kaneですがライブ中もエクササイズかってほどジャンプをし、激しいダンスをしながらラップしていました。89年リリースの「I Get the Job Done」もダンスをしながら息も切らさず元気をもらえるライブでした。昨今の若手ラッパーのライブはラップ入りの楽曲上でラップしていることがほとんどですが、全曲ちゃんと「インスト・ビート+生ラップ」です。「これがヒップホップだ」というOGの生き様を見せつけられた気がしました。Big Daddy Kane完璧に鍛えてます!

ライブ中盤には、CBSドラマ『NCIS: New Orleans』でコンピューターのスペシャリスト、パットン・プレイムを演じている俳優のDaryl Mitchellや、HBOドラマ『The Wire』、映画『ヒップホップ・プレジデント』に出演している俳優のTray Chaneyも登場しました。

続いて登場したのはTHE GOD MCとして崇められているRakim御大!彼の神々しい雰囲気は一体なんなんでしょうか。ステージに登場するシーンも「神降臨キター!」感がハンパではありません。常に沈着冷静なラップとパフォーマンスで、ヒップホップのライブに来たというよりはRakimの説教を聞きにきたような雰囲気で、オーディエンスはRakimの言葉ひとつひとつを噛みしめるかのように口ずさんでいました。

往年のクラシックスを披露した後に、Nice&SmoothのGreg Niceが登場!Gang Starrの「Dwyck」からのビートボックスを披露し、相変わらず元気な姿でホッとしました。

Get Hyphy with E-40 & Friends @ The Masquerade

ベイエリアやオークランド産のヒップホップも大好きな筆者にとっては初めてみるE-40御大も見逃せない!会場に到着すると会場の1/3も埋まってないのではというオーディエンスの少なさに唖然としましたが、そんな状況を考慮してか数時間待ってもE-40が出てこない。もう帰ってしまおうと思った瞬間、人が湧いたようにステージ上に溢れでてきました。E-40の往年のクラシックスに加え、10年以上も前のLil Jonのヒット曲「Snap Yo Fingers」リミックスを生で聴くとは思ってもみませんでした!オーディエンスは少なかったものの筋金入りのE-40ファンが多かったのか非常に盛り上がりました。

West Coast Tribute:DJ QUIK / Boogie / SOB x RBE / Buddy / Smino / G Perico / YG

ウェッサイ好きにはたまらないメンツが集結したWest Coast Tribute!まずはDJ QUIKがHi-C、息子のDavid Blake Jrと登場し往年のヒット曲を披露しました。DJ QUIKの踊る姿はいつ見てもセクシーです。

次はBoogie!知名度からしても、アトランタではまだまだこれからな気がしたBoogieですが一番真面目にライブをこなしていて、真摯な姿勢に非常に好感が持てました。

SOB x RBEのライブはオーディエンスと全くコミュニケーションをとらず、ただただそつなくパフォーマンスをこなしている感じでした。映画『Black Panther』でせっかく世間に露出したんだから、ライブも手を抜かずにやれよ!と言いたくなりそうな…。正直、このレベルだったらライブいかずにSpotifyで聴いていればいいかなという残念なパフォーマンスでした。

一番元気がよく勢いを感じたのがBuddy!オーディエンスを盛り上げるスキルとオーディエンスに語りかけるようなラップ、Buddyを知らない客をも魅了しファンにさせてしまうくらいの勢いがありました。

Buddyの時間帯にはSminoG Pericoが登場!お決まりの白Tシャツで登場したG Pericoは1曲のみの参加でしたが、正統派のLAギャングスタ・ラップの新世代を感じさせ一番治安の悪い雰囲気を醸し出していました。

最後にYGが登場しました。スタートから今まで見た彼のライブで一番ゆるいパフォーマンスをしておりまして、こりゃダメだ!と真面目にライブを見るのをやめ、筆者も踊って楽しむ方向にシフトしました。

Nipsey Hussleのトリビュートも期待していましたが、そんなことも起こらず。一番の盛り上がりを見せた「Loco」では、Buddyがステージ横で激しく踊りはじめ、会場全体がパーティ状態になり一番盛り上がりました。ライブの終盤にはYGがいきなりDJブース裏に消え去り、よくわからないまま終了しました。後日IGで確認したところ、ダンスのスイッチが入ったYGがDJブース裏で激しく踊っていました。

4日間連夜、NYのオールドスクールを代表するOGラッパーから西海岸の若手ラッパーまで沢山のライブを一気見した個人的な感想を総括しますと、一番インパクトを残しパフォーマンスが素晴らしかったのがBuddy、一番リアルだったのはG Perico!心にグッときたのはMos DefとRakim、パワフルなパフォーマンスで驚いたのはBig Daddy Kane、ライブを真面目に頑張っていて好感を持ったのはBoogie、一番パーティしていたのはYGとDJ QUIK!いろいろと収穫の多いA3Cでしたが、このような連夜のライブとカンフェレンスのスケジュールは過酷すぎました。

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