Master PやJuvenileの故郷で体験した衝撃のニューオリンズ・セカンド・ライン・パレード!

Master PやJuvenileの故郷で体験した衝撃のニューオリンズ・セカンド・ライン・パレード!

ジャズ生誕の地として有名なアメリカ南部ルイジアナ州ニューオーリンズ。ヒップホップ視点では、No Limit RecordやCash Money Recordsといったレーベル、Master PJuvenileLil WayneC-MurderMannie Fresh、故Soulja Slimや故Magnolia Shortyの地元であり、ニューオーリンズ・バウンスが生まれた聖地でもあります。独自の文化と音楽が根付くニューオーリンズで、衝撃のセカンド・ライン・パレードに潜入してきました。

セカンド・ライン (Second Line)とは?

ルイジアナ州ニューオーリンズのブラスバンドを伴った伝統的なパレードの名称。そこから生み出された独特のリズムはセカンド・ライン・リズムあるいはセカンド・ライン・ビートなどと称され、ニューオーリンズのジャズ、R&B、ファンクなどの音楽の重要な要素となっている。

Wikipedia

ニューオーリンズの伝統的なジャズ・フューネラルという葬儀パレードから派生したセカンド・ラインですが、ジャズ・フューネラルとは切り離した形で、現在もアフリカ系アメリカ人のコミュニティを中心に年間を通して日常的に行われています。

1987年にリリースされたバウンス/ラップ黎明期のローカルヒット曲、Gregory D & DJ Mannie Fresh「Buck Jump Time」は、セカンド・ラインの伝統を色濃く反映している楽曲です。Mannie Freshはドラムマシンでセカンド・ラインのリズムを起用し、曲名の「Buck Jump」はセカンド・ラインのダンサーが踊る代表的なダンスを指しています。地元では「プロジェクト・ラップ」とも呼ばれ、「カリオペ!マグノリア!セイント・トーマス!デザイア!」などニューオーリンズにあった公営住宅(プロジェクト)やクレセント・シティの町名をシャウトしているニューオーリンズ賛歌です。このように、セカンド・ラインはニューオーリンズのバウンス/ラップ黎明期にも影響を与えています。

まずはネットでセカンド・ライン・パレードを検索しましたが、情報がほとんど出てきません。英語で必死に検索をかけたところ、やっとニューオーリンズのコミュニティFM局「WWOZ」で情報を発見しましたが、フライヤーを携帯で撮影したこの写真のみ!!! MEN OF CLASS SOCIAL AID & PLEASURE CLUBという地元組織によるセカンド・ラインですが、地図もなく外部の観光客には難易度が高いフライヤーでした。ルート後半の中継地点の住所を検索してみると、自転車で行ける距離で、数日前に走って問題なかった地域だったため、そこに先回りして待ち伏せすることにしました。(ちなみに、今回のニューオーリンズ滞在は、マウンテンバイク付きのAIRBNBで毎日自転車に乗って観光していました。街のサイズ的にも便利です。)

午後1時頃に、中継地点の交差点に到着するとパレードの気配がありません。周りを見渡すとアジア人が1人もいない100%ブラック・ネイバーフッド!かなりローカルな地域に入り込みました。若干警戒しましたが地域の皆さんはフレンドリーだったので、とりあえずパレードが来るのを待ってみました。危険を察知したら速攻チャリで逃げる作戦です。

まずは警察車両が1台ゆっくり来ました。その後、ピンプ自転車チーム、ミニジープ、バイカーチームがぞろぞろと走ってきて、だんだん人が多くなってきました。道路を封鎖して警察車両が先導する地域の交通安全パレードのようです。

トリニダード・トバゴのカーニバルのような衣装を着た女性たちが荷台に乗ってやって来ました!

荷台にはDJやMagnolia Shortyのような声の女性MCもいます。Magnolia Shortyのような声の女性MCというよりかは、誰もがMagnolia Shortyのような声になりそうな音響機材でした。

次にクイーンっぽい女性が乗った車が来ました。

格上のキングっぽい男性も来ました!テーマ・カラーは黄色で、みなさん華やかなスタイルで圧巻です。

そして、やっとブラスバンドとバックジャンパーがきました!Youtubeで見た伝統的なセカンド・ラインというよりは、DJがいたりトラックの荷台で移動するなどコンテンポラリーなセカンド・ラインのようでした。これだけで圧倒されてしまった筆者ですが、もう一度冷静に観察するためにパレードを先回りしようとオジサン・チャリ・チームに混じって走っていると、今度は馬に乗っている人(騎馬警官)がいました!日本で見ることのない光景の連続で軽くカルチャー・ショックです。

中継地点はこんな様子で、Beyonceの「Before I Let Go」でお婆ちゃんがノリノリで踊り、ミニジープやアメ車が乗り込み、まさかのBBQ屋台まで登場!道路4車線を占拠してのパーティです。

パレードには移動式の荷台をひきながら商売する人も多く、ポップコーンやスナックを売るお兄さん、水を売るオジサン、ビールやアルコールを売るオジサンもいました。まさに町内移動式パーティです。

こちらのお兄さんは「今日は暑いから酒が超売れるんだよね!」と謎のアルコール・カクテル!?を売っていました。「セカンド・ラインのエナジーやばいだろ?ブラスバンドの周りが盛り上がるから、そこに行った方がいいぜ!楽しんでって!」と、ごきげんです。水を売っているオジサンから水を買うと「お前もちゃんとフットワークしろよ!Walk It Out!」と激励され、これまたフレンドリーだったので、そのままパレードを追いかけることにしました。

笛を売るオジサン「ホイッスル・マン」もいました。

この日はニューオリンズ滞在中一番天気が良く気温も28度ぐらいまであがり、自転車で追いかけるだけでも汗だくでした。小さな子供達もはしゃぎっぱなしです。

2つ目の中継地点で、やっとセカンドラインのフットワークのステップが分かってきました。以前、西海岸のC-Walkのダンス文化を調べていた時に、C-Walkは歩きながら踊るセカンドラインの動きに由来している説があったのですが、これを見ると非常に似ていることが分かります。

この全身レッドのオジサンは、ひたすら踊り続けていました。

見すぼらしい民家が立ち並ぶ道に突入すると、明らかにストリート・ギャングと思われるグループの車が爆音でラップを流し駐車していました。おそらくマグノリア・プロジェクト周辺だと思われます。彼らに近づくにつれ車からウィードの煙が上がっているのが見え、香りも漂ってきました。彼らの風貌と目力が怖すぎて、さすがに筆者の脳内警戒アラートも鳴りっぱなしで緊張しました。しかし、彼らは音楽にノルことも、踊ることも、笑顔を見せることもなく、冷静沈着な態度(ハイ過ぎ?)で、ただただパレードを見つめていました。

やっと場の雰囲気に慣れてきたのでブラスバンドに接近してみました。このブラスバンドは、休憩を挟みつつも4時間以上ずっと演奏しています。疲れないのか?と思い近くで観察してみたところ、ビールを片手に抱えながら汗だくで演奏していました。さすがです!

こんな長時間パレードを毎週やっていたら肺活量もスタミナもプレイの腕も標準以上になるはず。ニューオーリンズから強靭なミュージシャンが多く生まれる理由が分かった気がしました。

パレードで一番盛り上がっていた若者集団モブの白熱ダンスを映像に収めることができましたので、どうぞ!ブラスバンドの前奏部分は軽いスキップで、本編に入ると熱のこもったフットワークに激化します。そして、勝手に民家の階段に侵入し塀に登って踊りまくっていました。広い道路に出てパレードの進行速度が速くなりはじめると、人々がブラスバンドを必死に追いかけ始めました。そんな姿に、祭りへの気合いと根性を感じました。

夕方6時ぐらいにはDr. Johnのミューラルがある辺りまで行き、体力にも限界が来たため、ここでパレードを脱落しました。

赤のライン:パレードのルート
青で塗りつぶされてるエリア:旧Calliope Projects
ピンクで塗りつぶされてるエリア:旧Magnolia Projects

帰国後にGoogle Mapでパレードの詳細ルートを調べてみると、Master P、C-MurderやSilkk the Shockerの地元:B. W. Cooperアパート(旧Calliope Projects)、Juvenileや故Soulja Slim、故Magnolia Shortyの地元:Harmony Oaksアパート(旧Magnolia Projects)付近をパレードしていたことが分かりました。この2つのプロジェクトは、アメリカでもレベルの高いゲットーで治安が非常に悪いことで知られていましたが、2005年のハリケーン・カトリーナ災害後に閉鎖されています。また、再開発でプロジェクトの跡地は綺麗なアパートや公園生まれ変わっており、景観からは全くわかりませんでした。

アメリカの奴隷制時代、ニューオーリーンズにあるコンゴ・スクエアでは、アフリカ系奴隷たちが毎週日曜の午後に集まり、アフリカやカリブの音楽を歌い、踊り、太鼓を叩いていました。それが、のちにジャズを始めニューオリンズ・スタイル音楽の基盤になったのですが、そんなアメリカで誕生した音楽のリズム、ビートやグルーヴの源流をセカンド・ライン・パレードで感じました。その源流ビートはニューオーリンズのラップやバウンスのリズムにも生きている!ということで、南部ヒップホップ特有のチキチキもブラスバンドのカウベルなんじゃないか?とまで思いはじめているJuvenileの名曲「Back That Ass Up」で閉めさせていただきます。

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