A3Cカンフェレンス・レポート:3日目

A3Cカンフェレンス・レポート:3日目

アメリカはジョージア州アトランタにて10月8日(火)から13日(日)に開催されたヒップホップ・カンフェレンス&フェスティバル”A3C Conference and Festival”に行ってきました。今回は、A3Cカンフェレンス・レポート:1日目A3Cカンフェレンス・レポート:2日目に続き、10月12日(土)の日中に開催されたカンフェレンス3日目の模様を中心にレポートします。この日は最終日ということで頑張って午前中から動きました。

NEEDLZ、ZAYTOVEN(のマネージャー)によるパネル・ディスカッション

NeedlzZaytovenCassius Jayというベテラン・プロデューサーによるディスカッションのはずでしたが、始まったと思ったら「残念ながらZaytovenは家族の急用のため欠席です。Zaytovenのマネージャーが代理で話します」とアナウンスされ、せっかくなのでNeedlzとZaytovenの側近マネージャーの話を聞いてみました。新曲ができるとストリップ・クラブやクラブでオーディエンスの反応を見るという話をよく聞きますが、Zaytovenに関しては1ヶ月ぐらい時間をかけてジョージア州にある全クラブを回ってオーディエンスの反応を見てアルバムのシングル曲を決めているそうです。プロデューサー業の他にもテレビ番組制作などで常に多忙なようでスケジュール管理の重要性などを話していました。テレビもやっているのか!?と調べたところアメリカのAmazon Primeのドラマで俳優をやってました。

KAREN CIVILとの対話

ニューヨークを拠点に活動するジャーナリスト/ブロード・キャスター/プロデューサーのBrian “B.Dot” Millerが、アメリカのソーシャル・メディア/デジタル・マーケティング戦略家:Karen Civilにメンタル・ヘルス、男性中心のヒップホップ業界で女性として働くことについて話すトーク・セッション!Karen Civilといえば、最近ではLAのステイプルズ・センターで行われた故Nipsey Hussleの葬儀をオーガナイズし、YGといった西海岸ラッパーと公私ともに仲が良い印象でしたが、まさかのニュージャージー出身!大学卒業後、インターンとしてHot 97のDJ Funkmaster Flexの元で学び、Dipsetのグッズ販売サイトを開発するなどして、2010年にはLil Wayneが刑務所服役中にファンへの手紙を公開できるWeezythanxyou.comの仕事で一躍有名に。その後、Beats by Dreのデジタル・マーケティング・マネージャーなどを経て、現在は、自身のデジタル・マーケティング会社のCEOとして活躍しています。

Nipsey Hussleの葬儀について、Mac Millerの葬儀(おそらく親族のみ)が小規模で行われ個人的に寂しく感じたこともあり、可能な限り盛大にNipsey Hussleを送り出したいという想いで、あのような葬儀になったそうです。Karen CivilはNipsey Hussleが亡くなる直前にも別の友人を亡くしており、その前にはMac Millerが亡くなりYGが撃たれた事件も経験しています。「みんな感情を隠して、友人の死に関して語ろうともせず、大人なんだから泣いてはダメ!メソメソするな!ってなるよね。申し訳ないけど、そんなのクソ喰らえよ!私は傷ついてるし、落ち込んでるし、このジェットコースターのような人生に凄く不安を感じるわ。だからいつも側で支えてくれる友人が大事なの」と、メンタル・ヘルスについての重要性を語っていました。また、ハイチのルーツを持つ彼女は、両親の故郷ハイチに公園を建設し、20台のパソコンを寄付してThe Live Civil Computer Labというラボを開設する活動もしており、Nipsey Hussleのような尊敬できる強い素敵な女性でした。

ROB MARKMAN、TRICKY STWERT、JUST BLAZE、MIKE WILL MADE-ITの豪華プロデューサー・トーク!

ベテラン・ヒップホップ・ジャーナリスト/RapGeniusのアーティスト・リレーション代表を務めるRob Markmanが司会進行を務めた豪華プロデューサー・トーク!Beyoncéの「Single Ladies」やRihannaの「Umbrella」など数々の大ヒット曲を手がける大御所プロデューサー:Tricky Stwert、ベテラン・プロデューサー:Just BlazeMike WiLL Made-Itが集結しました。Mike WiLL Made-Itは、Gucci Maneからビートを聴かせてくれと言われた時に「絶対ヤダ!」とビビりまくってしまったエピソードやBeyoncéの「Formation」制作秘話を語っていました。

Just Blazeは「無名時代、スタジオに入る時には必ずスタジオのドアを少し開けて作業してたよ。別の部屋で作業しているアーティストが聞こえるようにね。いつどこで何がどう仕事に繋がるか分からないから!」と語り、それぞれ楽曲制作以外で、自分の作品をビジネスに繋げる様々な工夫をしていて興味深かったです。

Beyoncéの「Formation」制作秘話はこちらで

Dapper Danから見たファッションの歴史

カンフェレンス最終日の大トリがこちら!お洒落で奇抜なファッション人口が一気に増えたDapper Dan2Chainzのトーク・セッションです。90年代にニューヨークはハーレムで一世を風靡した伝説のテーラー、Dapper Dan。最近はGUCCIとのコラボレーションでも注目を集める彼が今年発売した新作著書「Dapper Dan: Made in Harlem: A Memoir」の内容を中心に、今までのキャリアやハイファッション・ブランドがストリート・カルチャーをどう搾取してきたか語るトークでした。事前にDapper Danのアトリエを訪れA3C用に「ATLANTA」の文字をあしらって制作したアトランタ・グッチ・ジャケットを着用して登壇した2Chainzですが、トークの進行が上手くてビックリしました。詳しい話は「Dapper Dan: Made in Harlem: A Memoir」に書いてるから読んでと何度もおっしゃっていたので、是非読んでみたいと思います。

カンフェレンス最終日の大トリということで、会場の熱気も最高潮!

ということで、A3Cカンフェレンス毎日頑張ってみたものの、最初から最後まで聴講できたセッションは以上でした。各セッションで何度も耳にした「業界ネットワークが重要!」という言葉を体現するように、会場のあちこちではネットワーキングが盛んに行われ、ドイツから参加している人たちもいました。アーティストの営業も盛んで、会場内を歩いているだけで無名アーティストの名刺やフライヤーを沢山受け取りました。参加者の真剣さと情熱がハンパなかったこと、A3Cでコネでも情報でも何でもいいから何か有益なものを得て帰ってやろう!という前のめり気味の「やる気」に非常に刺激を受けつつも過酷なスケジュールで疲弊した6日間でした。このようなコンベンション、日本のレコード会社やレーベルで働く方々もどんどん行ってみると面白いのでは?と感じたのと、Complex Conなど他のコンベンションのような催し物も是非攻めてみたいと思いました。


A3Cカンフェレンス・レポート:1日目
A3Cカンフェレンス・レポート:2日目

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