オークランド紀行 3/4<衝撃のドレイク&ミーゴス・コンサート編>

オークランド紀行 3/4<衝撃のドレイク&ミーゴス・コンサート編>

YAPPARI HIPHOPオークランド紀行 1/4<ダウンタウン編>YAPPARI HIPHOPオークランド紀行 2/4<ダウンタウンをサイクリング>に引き続き、今回は、旅のハイライトでもあるドレイクとミーゴスによる”Aubrey & the Three Migos Tour”のライブ@オラクル・アリーナのライブレポートをお届けします。


会場に到着すると前座のロイ・ウッズがライブ中でした。前座の時間帯は、会場のオーディエンスもまばらです。パッと見、そこまで手の込んでいないステージで、どんなライブが繰り広げられるのか、オークランドでのドレイクとミーゴスの人気はどうなのだろう?とワクワクしながら待っていると、ミーゴスがちゃんと登場!


きゃー!と興奮したのも束の間、音響が悪く、何の曲をやっているのか分からない時もあるほどでした。隣の白人女性が「ねぇねぇ!音響悪いと思わない?カニエを観に来た時は、こんなじゃなかったのに」と話しかけてきたので、相当悪かったに違いありません。そんな状況に置いても、ステージ上で輝くミーゴスの3人。彼らの存在感は一体なんなんでしょうか!?ミーゴスには失礼ですが、ステージ上であっちこっち動いて100%の力を振り絞ってパフォーマンスしている訳でもなく、いつもパソコンの前で観ているようなライブだったのですが、ステージに居るだけで存在感がハンパありません!この時ばかりは、筆者も本気でスカ〜!スカ〜!(Skrrt!Skrrt!)


ドレイクのライブが始まる時間帯には、会場の席もかなり埋まり、ワクワク感も最高潮!そんな中、他のヒップホップのライブ会場では見かけない光景を目にしました。小学生ぐらいの白人の兄弟が母親と一緒にドレイクを観に来ていました。子供たちの近場では、ライブ休憩時に誕生日を祝う若者たちが、白い煙をモクモクと狼煙のようにあげており、色々心配になるアメリカです。そんな中スタートしたドレイクのステージ!彼の人気の凄さもさることながら、衝撃のステージプロダクションに唖然!完全にノックアウトされてしまいました。


まずは、マグマの中、1人マイクを握るドレイク


大波が打ちつける大海原にて、1人マイクを握るドレイク


潮の渦に巻き込まれながら1人マイクを握るドレイク


ミーゴスやダンサーが加わり「Walk It Talk It」!この時、ステージ上の総人数が一番多かった場面なのですが、それでも、たった10人です。


そしてミーゴスの「MoterSport」


バスケットボールのコートで1人マイクを握るドレイク


「In My Feelings」にいたっては、ステージ自体が大きなiPhone画面に早変わり!


シギー(Shiggy)のインスタグラム動画で大流行した曲ということもあり、インスタグラムの画面で「In My Feelings」の動画を見ている図に!


*Photo by Willo Perron & Associates
この衝撃の”Aubrey & the Three Migos Tour”のステージ・プロダクション、一体誰が仕掛けているのか調べてみると、テイト(TAIT)というライブやイベントの演出制作を手掛ける企業と、カニエ・ウェストやリアーナなど筆頭に、業界のトップ・アーティストがこぞって起用しているクリエイティブ・ディレクター、ウィロ・ペロン(Willo Perron)、ライトニング・デザイナーのジェシー・ブレヴィンス(Jesse Blevins)、プロダクション・マネージャーのポール・ラベル・バット(Paul Lovell-Butt)のチームによるコラボ作品でした。


*Photo by Willo Perron & Associates
ステージ地面に映し出されている映像、プロジェクト・マッピングのようなものと勘違いしていましたが、スマホの画面をテレビに映す時に使われる、画面ミラーリングの手法でした。ドレイクのチームが映像コンテンツのミラーリング機能を強く望み、テイトが288個のビデオデッキを使用したビデオステージを制作。オーディエンスがビデオステージの上に立つドレイクやミーゴスを360度から観ることができる仕様に作り上げたとのことです。映像をステージ面に映し出そうぜ!というドレイクのチームの発想と、それを実現するために動くテイト。『プロフェッショナル 仕事の流儀』や『カンブリア宮殿』といったテレビ番組が彼らを追ったドキュメンタリーでもあったら是非観てみたいものです。ちなみに、テイトは、FAST COMPANYによる「世界で最も革新的な企業」のライブ・イベント分野で、2017年、2018年とランクインしており、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのライブや、ビヨンセのフォーメーション・ツアーU2のツアーレディ・ガガなどの著名なアーティストのコンサートに加え、2012年のロンドン・オリンピックの開会式と閉会式、ナショナル・ジオグラフィックによる「火星体験」のVRアトラクションまで手掛けている凄腕企業です。


今までに筆者が観たケンドリック・ラマーのライブの中でも断トツでベストとなっている2016年パノラマ・フェスティバルのケンドリック・ラマーのステージ。巨大スクリーンに映し出されていたモノクロのケンドリックの生ライブ映像と、アメリカ黒人の歴史やアメリカのポップ・カルチャー映像のクロスオーバー演出に圧倒されたのですが、これを手掛けたのもウィロ・ペロン氏とジェシー・ブレヴィンス氏でした。制作チームが気になっていましたが、彼らの仕業だったとは!


*Photo by Willo Perron & Associates
そして、今年行われたドレイクのコンサートで、オーディエンスの上を浮遊したドレイクの黄色いフェラーリ!このリモコンで動くバルーン製のフェラーリも彼らが制作しています。「この際、ドレイクのフェラーリも浮遊させちゃう?」みたいなノリでやってるんでしょうか。冷静に考えると、フェラーリが空中を浮遊するなんて全く意味がわからないのですが、凄い!

一番売れているアーティストの元に凄まじく優秀な人材が集結するという話を聞いたことがありますが、ビートルズが打ち立てた全米チャート記録を54年ぶりに抜き、色んな意味で現在ヒップホップ産業の頂点にいる人間の1人、ドレイク!彼のステージの舞台裏にも、凄腕たちが集結していました。ドレイク自身の人気やパフォーマンス、キャラクターもさることながら、巨額の予算、奇抜なアイデア、クリエイティビティとテクノロジーを駆使しし、ドレイクのチームが作り上げたステージ・プロダクションに大きな刺激と衝撃を受けました。正直、高すぎると思っていた18,000円のチケットも、これだけのコンテンツを見せられたら、全然安いと感じるほど。巨額の予算をかけててもダサいコンサートなんていくらでもあると思うので、ドレイクのチームの実力を見せつけられた気がしました。

カニエ・ウェストの空中に浮くステージ、ビヨンセによるビーチェラのステージ、トラビス・スコットの、ケンドリック・ラマーのDAMNツアーなどなど、近年のアメリカ・ヒップホップ界隈のライブは、既存のヒップホップのライブの常識を変えるようなネクストレベルの総合芸術的な要素が非常に強くなり、表現の自由度が大幅に広がりました。ヒップホップだからこそ生まれるような奇抜なアイデア、バトルで競い合ったり、「オレ凄いだろ?」と見せびらかす文化的要素、非常に潤っているアメリカのヒップホップ産業ということで、これからも私たちをあっと言わせるコンテンツで競い合い、切磋琢磨していく時代なんだなと感じました。ヒップホップのライブ・コンサートが、総合芸術!?はたまたエンタメとして、どこまで行けるのかこれからも目が離せません。この後に、ロサンゼルスでジェイ・ロックのライブも観たのですが、こちらはこちらで心に響くWIN WIN WIN WINなTDEらしい感動のライブでした。

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